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「体験」がキーワード! 患者さんが定期検診に来ないホントの理由

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定期検診が自分の歯の健康にとって良いことは、冷静に考えれば患者さんも理解できることです。しかし、多くの歯科医が積極的に定期検診を勧奨している割には受診される患者さんが少ないのでは、という印象を持ってしまうのが実情ではないでしょうか。
それほど患者さんの負荷が大きいとも考えられない定期検診の受診を妨げている理由は何なのか?  人の真の行動理由を探る”顧客インサイト“のやり方を使って、患者さんの心理面から考えてみたいと思います。

定期検診の受診率の実態

予防歯科の観点から定期検診が重要であることは、皆さまも共通のご認識だと思います。
さまざまなメリットが考えられますが、例えば、患者さんにとっては「虫歯や歯周病を予防でき、また早期治療により精神的、時間的、コスト的な負荷が低減」され、歯科医にとっても「かかりつけ医になることにより患者さんとの関係構築ができる」などが挙げられます。診療時や受付時、ホームページやパンフレットなどを通じて定期検診の受診勧奨を行っているケースも多いと思います。

それでは、実際に歯の定期検診に訪れている患者さんはどれぐらいおられるのでしょうか。少し古い情報ですが、2013年5月にライフメディア社の調査メディアであるリサーチバンクが調査したところ、

  • 通常推奨される「3ヵ月に1回以上受診している」方の比率は全体の、”約11%”
  • 「年1回以上受診している」方は、”約40%”
  • 「まったく受診していない」方は、”約36%”

という結果になりました。少なくとも1年に1回は受診されている方が40%おられるのは、少しほっとした気持ちになりますが、まったく受診されていない患者さんを少しでも減らしたい、というのが正直な気持ちですね。

定期検診に行かない本当の理由は?

では、「なぜ検診に行かないのか?」と患者さんに尋ねると大体、

  • 「時間がない」
  • 「必要性を感じない」
  • 「検診代金がもったいない」

などの答えが帰ってくるのではないでしょうか。
そのような「答え」に対しては、「検診によって予防や早期治療が可能なこと」「早期治療によって結局は時間的にもコスト的にも負荷が少なくなること」を率直に説明し、訴求するのがよいでしょう。しかし「時間がない」や「必要性を感じない」、「検診代金がもったいない」が理由のすべてかといえばそうではないでしょう。もう少し深く考えてみる必要がありそうです。

人はさまざまな判断を、自分でも気が付かない感情的な理由で行っている場合が多くあります。氷山の一角に例えられるように、むしろ明確に自覚している理由の方が少ないとも言われています。検診に行かない理由をもう少し考えてみると、こんな感情が隠れているとは考えられないでしょうか。

 「もし検診で虫歯が見つかったら、虫歯の治療をしなければならない。
 だから検診に行きたくない。」

少しうがった見方かもしれません。しかも「虫歯を見つけるために検診を行う」のですから、道理に合わない考えでもあります。
しかし検診で見つかった虫歯は歯科医が「見過ごす事はない!」ということは分かっています。従って、人によっては、「検診に行って虫歯を見つけられるのがイヤ」→「できるものなら隠しておきたい」→「だから検診に行かない」という感情による判断が働いても、”感情としては”ある程度理解できるところもありますね。

キーワードは「体験」

やっぱり「虫歯の治療がイヤ」

検診に行かない理由は、一見合理的な「時間がない」や「必要性を感じない」「検診代金がもったいない」などよりも、虫歯の治療に対する恐怖感の方が大きいのかもしれません。そして、検診に限ったことではありませんが、歯科医もしくは虫歯治療に対する恐怖感は、概ね過去の「コワい体験」に基づいていること が多いのではないでしょうか。

現在では治療技術が向上し、痛みや不快感が激減していることは患者さんも頭では理解できているかもしれません。しかしそれだけでは過去の体験に基づく感情的な判断を覆すことは難しいでしょう。それには「過去のコワい体験」を「別の体験」に置き換えることが必要なのでは、と考えます。
具体的な方法を考えてみましょう。

「疑似体験」として患者さんの体験談やインタビューを公開する

来院されていない患者さんに対して何かを直接体験していただくことはできませんが、実際に医院で治療された方の体験談やインタビューをホーム―ページやパンフレットなどで公開し、疑似的に体験することはできます。実体験に比べるとリアリティは劣るかもしれませんが、それでも少しでも過去の体験を塗り替える要素にはなるのではないでしょうか。

医師の立場で「現在では治療技術が進歩して、以前と比較して痛みや苦痛が少なくなりました」と説明するのではなく患者側からのアプローチがよいでしょう。

「『歯医者が怖い方は大人の方でも多いですから、何も心配いりませんよ』と言われて何だか少しだけ安心。それでも恐る恐る治療を受けました。麻酔の時の痛みをほとんどなくて、先生も時々説明しながら進めてくれたので、何だかあっという間に終わった感じです。もちろん麻酔が効いているので…」

こうした患者さんの語る言葉であれば体験に近い形で感じることができるでしょう。
あまりまとめた文章や内容にしてしまうのではなく、できるだけ患者さんの生の言葉で表現するのがポイントです。またホームページ上でインタビュー動画を掲載するのも効果的。もちろん体験談インタビューには、患者さんのご協力が必要になってきますね。

大人向け歯科医体験

実際に来院の機会があったとしても、悪くもないのに「治療の体験」をしていただくのは難しいですね。そこで少し発想を変えて、歯科医の立場から「今の歯医者」を再体験していただくのが、この「大人向け歯科医体験」です。

お子さま向けの歯科医体験は、お子さまの歯科医に対する恐怖感や疎外感を和らげようとする目的で行われます。しかし考えてみると「恐れ」や「安心感」などの感情を呼び起こす仕組みは、子供も大人もあまり差はありません。大人の方も歯科医の立場で現在の治療方法を体験していただくことで、それまで頭の中だけでは「今の歯医者の技術は進歩している」と何とか理解していたことが、「本当に恐怖感の少ないもの」として体験的に感じることができるのではないでしょうか。

余談にはなりますが、自分が就きたくても就けなかった「職業体験ツアー」が少しブームになっていることが、「大人向け歯科医体験」を行う上で後押しをしてくれるかもしれません。

検診に来た方によりリアルな体験をしてもらう

最後に、一度検診に来た患者さんに対して、より積極的に検診にきてもらうような動機づけを考えてみます。検診時でも「体験」をキーワードにすれば、仮に半信半疑で来院していた患者さんに対しても、その重要性を切実に感じてもらうことができます。

例えば自分の歯垢を実際に顕微鏡で見てもらう。目の前で動く菌を見てしまえば、やはり「これはちゃんと落とさねば…」と大抵の方が感じるでしょう。実際に目で見るイメージは、言葉で説明するよりも何倍もの説得力があります。それも一つの体験だからです。検診だけではなく、ブラッシングなども含めた日常のメンテナンス全般に対しての意識 も高揚することが期待されます。

まとめ

消費者の行動や購買の真の理由を探る顧客インサイトは、さまざまな場面で気付きを与えてくれます。顧客インサイトを知るにはいろいろな方法がありますが、最も簡単でしかも有効な方法は、顧客である患者さんの視点で考え、体験してみることです。日頃からそのような視点を持つことで、患者さんとの距離も自然と縮まってきます。ぜひ実践してみてください。

 

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