2016.01.21

  • 医院経営

スタッフにはありがた迷惑!? 院長夫人は業務に関わるべきか【歯科あるある第6回】

歯科医院を経営される院長先生の中には、自宅と医院がごく近所だったり、隣接していたりということはよくあると思います。また、奥様がもともと歯科関係者だったという方も少なくないのではないでしょうか。そうなると、スタッフが少ない歯科医院では院長夫人も診療に関わったり、業務を手伝っていることもあるかと思います。奥様が業務を手伝ってくれていることはもちろんありがたいことなのですが、スタッフの思惑は複雑な場合も少なくなく……。その本音の一例をご紹介します。

院長夫人は元歯科助手

私が新卒で勤務を始めた頃の話です。医院はまだ開院して数年で、院長は40歳でした。院長には30代半ばの奥様と、小学生のお子さんがいました。院長夫人は元歯科助手。先生が勤務医として働いていた頃に知り合ったそうです。結婚後は仕事はやめて育児に専念しているとのことでした。
院長の自宅と医院は同じ敷地内にあったため、毎日診療終了前の30分ほど、奥様が会計の締めや片づけを手伝いに来てくれていました。

鶴の一声ならぬ妻の一声

奥様が会計や片づけを手伝ってくれ、おかげで残業はほとんどありませんでした。ですが、院長夫人が来ると、なんというか自分たちの仕事が見張られているような感じで緊張した空気が流れます。みんな自然と私語もなくなります。私は新人だったので、そこまで気にしてはいなかったのですが、特に助手さんは会計のミスがなかったかを心配していつも奥様が来る前に、一度確認のための計算をしていたそうです。
また、奥様は元歯科助手ということで、受付業務にもいろいろと口を出していたそうで、「こっちの方がミスが減るから」「やりやすいから」と言って、会計の記録方法や、物のしまい場所などを変えてしまうこともよくあったようです。今までどおりでよかったのにと思っていても、夫人の一言は院長の一言。(むしろそれより重いかも。)誰も反論することはできません。

いつの間にか現れなくなった院長夫人

そんなこんなで、助手の先輩たちは奥様が来ることを快くは思っていませんでした。特に、30代の助手さんの一人は、そりが合わないようで、ミスを指摘されたりした日には、奥様が帰るといつも愚痴をこぼしていました。

ですが、私が勤め始めて1年くらいたった頃からでしょうか。奥様は毎日現れなくなりました。会計の締め作業は、助手さんの仕事に戻り……。いつの間にか奥様はまったく来なくなったのです。
最初は院長との不仲説なんかも出ましたが、お昼に子供を連れて診察に来たり、長期休みには家族旅行に行ったりと今まで通り過ごしているようだったので、そういった理由ではなかったようです。歯科助手や歯科衛生士の同僚たちは、「院長が私たちが愚痴を言っているのを聞いてしまった?」「微妙な空気を察した?」などと言っていました。

歯科医院では院長夫人登場はよくある話

私の勤める歯科医院ではうやむやのままこの問題は解決しました。ですが、院長夫人の登場というのは他の医院でもよくある話のようで……。
友人が勤める医院でも元助手の奥様が頻繁に登場し、やはりスタッフからは疎まれていたようです。その医院では、飲み会で一人の助手さんが、お酒の力を借りて院長に「手伝ってくれるのはありがたいけど、奥様がいるとみんな仕事がしづらい」ということを思い切って伝えたそうです。院長から夫人にやんわり伝えてもらって、以後、奥様は登場しなくなったとのことです。

院長夫人は登場すべきか否か

奥様は良かれと思って手伝いに来てくれているはずです。歯科医院は人手が足りないところも多いので、そうせざるを得ないという場合もあるでしょう。実は、私自身は奥様が手伝いに来てくれることを特に悪く思っていませんでした。歯科衛生士なのであまり関わりがなかったということもあるかもしれませんが、単純に片づけ要員が増えて助かると思っていました。見張られている感は否めませんが、真面目に働いていればあまり困ることもないので。
でも、もし院長夫人が朝から晩まで一緒に働く同僚だったら少し嫌かも知れないです。奥様は良い人なのですが、やっぱり「院長夫人」なので、うかつに院長への文句も言えないし、どこにいても院長に見られているような気がしてすごく疲れそうです(苦笑)。

ですが、なかにはスタッフとうまくやっている院長夫人もいるようです。これもまた友人の話になってしまうのですが、友人の勤める医院では、院長と夫人(歯科医師)が一緒に仕事をしているそうですが、特にみんな奥様に不満はなく、むしろ院長への不満を奥様に相談したり、一緒に愚痴を言ったり(!?)しているそうです。院長夫人は気さくで面白く、話しやすい方とのことでした。

歯科医院にとって、院長夫人は登場すべきか否か。これは私たちスタッフが決められる問題ではありませんが、奥様とスタッフの相性によって、左右されるのかも知れません。

歯科衛生士 ERI 28歳 女性

お酒が大好き! 飲み会大好き! 独身時代は週に5日は飲みに行っていたが、現在は結婚し、飲み会は週1回に自粛中。新卒から努めている医院で現在は主任衛生士を務めている。子供ができたら仕事はやめる予定。現在は結婚式の準備で大忙し。

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