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「人間関係」が原因で人材を失ってませんか!? 仕組みで解決する歯科衛生士の離職対策

インバウンド医院運営

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平成22年に京都府歯科医師会が行った「歯科衛生士の実態調査」の中で、歯科衛生士の退職理由として多いものは順に、「結婚・出産」「院長やスタッフとの人間関係」「勤務時間」「職務内容」「勤務地」となっています。

「結婚・出産」などのライフイベントによるものはさて置くとして、やはり気になるのは「院長やスタッフとの人間関係」によるものです。
確かに、「院長やスタッフとの人間関係がうまくいかなくて…」という話しは時折耳にします。
医院の立場から見れば「本人の問題ではないか?」とのご意見も多いとは思いますが、今回は視点を変えてみて、歯科衛生士やスタッフの立場や心理から、退職の理由やその防止方法について考えてみたいと思います。
せっかく採用した貴重な人材を、「人間関係」というようなハッキリしない理由で辞めさせていくのは非常にもったいないこと。その原因を押さえて防止策を講じましょう。

歯科衛生士の立場から考える退職の原因

小人数精鋭で運営することが多い歯科医院では、どうしても人間関係の問題がさまざまな場面に大きな影響を及ぼすことは避けられません。
それは歯科衛生士などのスタッフ自身の問題かもしれませんし、それぞれの相性の問題かもしれません。
しかし、そもそもいろいろな「仕組み」に問題があり、それが人間関係に悪い影響を及ぼし、ひいては退職に至ってしまう、というケースもあります。
ここでは典型的なパターンの事例をご紹介します。先にも申し上げた通り、あくまで歯科衛生士などのスタッフの立場からの描写であることにご留意ください。

事例1:採用直後の教育が体系化されておらず行き当たりばったり

  • 人員に余裕がないため中途半端な教え方をされ、「あとは何とかなるから…」で教育期間が終了する。
  • それでもミスした場合は、問答無用で怒られる。
  • 先生や先輩スタッフに対する不信感を持つ。

事例2:業務上の目標や期待されている役割が分からない、明示されていない

  • そもそも医院や医院長が自分にどのような役割を求めているのか話してくれないし、改めて自分から訊くこともできない。
  • 日々の仕事は忙しく自分なりには頑張っているつもりだが、自分がどのような目標に向かって行けばよいのか分からない。
  • だんだん医院長が「重要な事は何も話してくれず、よく分からない人」に感じてくる。
  • 理由がよく分かないままに、怒られたり褒められたりすることが発生する。
  • 医院長に対する不信感を持ち始める。医院長と話すのが嫌になる。

事例3:どのようにすれば給与や待遇が良くなるのか分からない

  • 給与体系が明確でないので、どのようにすれば給与が上がるのか分からない。
  • 「どうせ給与は上がらない」という、投げやりな感情を持ってしまう。
  • 自分より優秀だと思われない同僚や後輩が、好待遇であることを発見する。
  • 彼ら彼女らが好待遇である理由が分からない。
  • 「どうせ給与は上がらない」という漠然とした不満が、医院長や回りのスタッフへの不信感へと変わる。

上記は、口コミサイトなどの内容を参考にし、一般的な心理状態の変化を特定の事例に当てはめた例ですが、元々は「仕組み上の課題」であったものが、結果的には「人間関係」の問題となり、それが最終的な退職理由となってしまうケースは十分にあり得ることではないでしょうか。

人間関係を悪化させないための仕組みづくりの提案

「仕組みの問題」と言っても、解決策はそれほど難しいものではありません。最良の方法を考える際には少し時間が必要かもしれませんが、一度作ってしまえば日々運用は、多忙な医院運営自体にもそれほど負荷をかけるものでもありません。
上記の事例に基づいて対策を考えてみます。

●採用時の教育方針やカリキュラムを決めておく

「教育方針」や「カリキュラム」と言ってもそれほど大げさな事ではありません。一言で言えば採用後に「何を、誰が、いつ教えるか」を事前に職種別に決めて、本人と医院全体がそれを理解しておくことです。医院全体で共有しておくことにより、何かあった場合に全体でフォローができ、それが相互の信頼関係構築にもつながります。

もし何らかの事情で研修の一部を割愛せざるを得なかった場合なども含め、「何をどこまで教わっているのか」を、本人とスタッフ全員が共有していることがポイントです。

●スタッフの業務上の目標を明確にする

一口に「業務上の目標を決める」とは言っても意外と難しいものです。最初は少し手間がかかりますが、本人が「どうなりたいのか」も踏まえ、十分に話し合って決めるのが良いでしょう。もちろん医院側からも、「どのような役割を担って欲しいか」は十分に伝えるべきですが、目標が押しつけになってしまってはかえって逆効果です。

また、どういう風になって欲しいか、それを達成するためにはどのような方法があるのか、などはできるだけ具体的に伝えるべきです。例えば資格取得や外部研修受講など、具体例を提示しやすいものもあります。決めた目標は紙に残して双方で保管することによりコミットしておきます

そして決定した目標を元に半年~1年単位で達成度確認のヒアリングを行います。ヒアリングの際は、自己評価と医院長などの外部評価と合わせて、最終的な達成度合いはどうだったのか、を相互に確認します。一方的に「評価を伝える」場にならないようにすることが必要です。そして状況によりその場で目標の再設定を行います。

こうした事を定期的に行うことにより、歯科衛生士などのスタッフは「自分が何を期待されているのか」が分かり、また「自分がどのような道に進んでいけば良いのか」も前向きに考えるようになるでしょう。

●給与体系を明確にする

給与を含む待遇の向上は、仕事への大切なモチベーションの一つですので、ここへの配慮をおろそかにすることは組織全体の活力を衰えさせることになります。しかし、もちろん安易に給与を上げることは経営上好ましくありません。

「なぜ給与が上がらないのか」という疑問や不満は、「どうすれば給与が上がるのか」が分からない、明確になっていないことから生まれます。反対に「どうすれば給与が上がるのか」かが分かっていれば、「なぜ給与が上がらないのか」という疑問は「どうやって給与を上げようか」という積極的な思考に変わります

職種別に能力や成果、経験や経営への貢献度など、できるだけ多角的な視点で評価し、それを給与などの待遇に反映することが必要です。それらの評価点を基に「評価点×待遇」テーブルを作成し、それに基づいて待遇を決定するような仕組みにする必要があります。
ポイントは評価基準を可能な限り客観的にしておくことです。もちろんそのテーブルはスタッフには公開しておきます。
お気づきかとは思いますが、この評価制度は上記の「業務上の目標設定」と密接に関連してきます。

まとめ

少し極端な言い方かもしれませんが、自分の能力や成果が客観的に評価される場であるならば、多少人間関係がギクシャクしようとも我慢ができますし、さらに自ら進んで改善しようとする意欲も湧いてきます。逆にそのような場でなければ、人間関係に押しつぶされてしまうことも多くなるでしょう。

冒頭にご紹介した調査の中でもう一つ興味ある結果があります。
「歯科衛生士になって良かったか?」の質問に対して、結果「良かった」と「まあまあ良かった」を合わせると90%です。歯科衛生士の方は、自分の能力を発揮できる場を想像以上に求めているのかもしれません。