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歯科医院・歯科医療人として災害に向き合い、やるべきこと 1/2

インバウンドコンテンツ医院運営

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熊本を中心とする地震により、お亡くなりになられた方々に謹んでお悔やみ申し上げますとともに、 被災された方々へ心よりお見舞い申し上げます。

今回の熊本を中心とする地震を通して日本人がはっきりと自覚したのは、日本のどのエリアであっても防災を考えなくてもよい地域はないということではないでしょうか。いつどこで大規模な地震が起きても不思議ではない状況の中、歯科医院として、歯科医師として医院とスタッフと患者さんと地域の人を守るために、今すぐできることは何かを考えてみたいと思います。
1回目は「診療中に災害が起きたらどうするか」について考えてみます。

災害対応マニュアルは手元にありますか?

「診療中に災害が起きたらどうするか?」についての準備は万全でしょうか。
例えば、歯科医院での診療中に震災に見舞われることは非常に危険です。ほとんどの治療で使われているであろうタービンや麻酔針はコントロールを失った途端に凶器と化しますし、抜歯やインプラントなど外科的な手術の最中である確立も非常に高いのです。

  • 突如立っていられないような揺れに襲われたとしたら? 
  • さまざまな危険な道具が飛び交うような激しい揺れの中、どこに隠れればよい?
  • 揺れが収まったら次になすべきことは何か? 
  • 電気と水のラインが断ち切られていた場合は? 
  • 中断できない治療の続きは?

災害時の対応は事前に考え、手順を頭に入れ、訓練をしておかなければ、非常時のパニック状態の中ではとてもじゃないですが対応は不可能です。ですが、個人の歯科医院で、こうした状況へ対策が万全にできているところは非常に数少ないのではないでしょうか。

歯科医院において災害時に考えるべき対応は多々ありますが、まずは人命第一です。災害はその原因、発生時間、発生場所によって様々な結果をもたらします。同じマグニチュード7レベルの地震であっても、阪神淡路大震災と、東日本大震災では、被害のあり方やその後の対応がまったく違うことを私達は経験から知りました。

こうした経験からも、防災マニュアルを作るのであれば、可能な限り自医院の地元自治体や歯科医師会が作成した資料を参照するのが望ましいと考えます。

自医院の建つ土地の災害リスクを把握する

各地域の歯科医師会や自治体が、どれくらい地域の医療施設に向けて具体的に役立つ手引きを作成しているのかの実態は把握できていませんが、震災を体験したエリアで参考になる資料を見つけたのでご紹介いたします。

歯科医院のための震災対応マニュアル – 石川県保険医協会

  • Ⅰ.事前の対策
  • Ⅱ.発生直後の対応(診察中)
  • Ⅲ.被災後の対応
  • Ⅳ.チェックリストの準備と活用

上記4つの項目に分かれ、どれもが具体的な事例、指示が記載されており、最後にチェックリストを書き込んで実際に手元に持っておくように設計されていて、非常に実用的です。

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具体的には、「事前の対策」として、まずは自分の医院が建つエリアが災害に対してどんなリスクがあり、何を一番警戒しなければならないのかを認識するところから始めます。

ここに紹介した石川県の場合、有感地震回数が全国的に少ない地域であることから「石川は大きな地震が起こらない」と思われていましたが、2007年に起きた能登半島地震で大きな被害を被りました。
地震の波は固い岩盤を伝わり表層の柔らかい地盤に到達した際に増幅されるため、地震の揺れである震度が大きくなります。そのため、震源から遠くても、軟弱な地盤のエリアでは揺れが増幅され、建物の倒壊などの被害が多くなるのです。この能登半島地震や、新潟県中越地震、阪神・淡路大震災などでは、住宅や建物の構造や建て方自体よりも地盤崩壊や軟弱地盤が地震波を増幅し、被害を大きくしたと指摘されています。

また沿岸地方であれば津波を警戒する必要がありますし、河川のそばに位置している場合は、どんなに規模の小さな川であっても、台風や大雨の際の洪水被害を警戒しなければなりません。

ご自身の歯科医院や自宅が建つエリアがどんな活断層から影響を受ける可能性があるのか、地盤の性質がどんなものか、近隣の河川が氾濫した場合どんな影響があるのかをご存知でしょうか? こうしたことは意識的に情報を集めない限り、ぼんやりと断片的な情報は知っていても、具体的な危機感として認識し、対策を立てるまでには至りません。

各自治体では防災マップが作成されています。お住まいの「市区町村名 + 防災マップ」で検索してみてください。

また、企業が提供しているサイトの中にも有用なものはいくつもあります。実際に自分の歯科医院のエリアを検索して現状を認識してみてください。

ゆれやすさ全国マップ

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各都道府県別の「地震での揺れやすさ」を確認できるサイトです。相対的に「揺れやすい」「揺れにくい」エリアがある一方で、「最も揺れにくい」エリアに隣接して「最も揺れやすい」エリアが分布している場合もあり、「このエリアは地盤が固い」という噂レベルのことはあまり役立たないことがわかります。

地盤情報ナビ

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このサイトでは、対象の土地がどんな特徴を持っているか、どんな断層の影響を受ける可能性があるのか、また、液状化や土砂災害、浸水被害を受ける予想区域などを調べることができます。あくまでも予想ではありますが、同じような小さな河川であっても、浸水の被害が予想されるもの、そうでないものがあったり、道1本隔てて断層の影響を受けている、いないなどが明確で、自らがどんなリスクを抱えているのか、何に対して備えなければならないのかがより明確になります。

防災計画を立て、必ず防災訓練をする

実際にマニュアルを読み進めると、災害が起こる前にしておかなければいけないことの多さに驚き、尻込みしてしまうほどです。大きな病院であれば、組織がこれらの準備をしてくれ、その指示に従うということになりますが、個人の歯科医院であれば、それらをすべて院長自らが責任者となって、自前でスタッフと手分けして行わなければなりません。
一人でできるものではありませんので、スタッフに呼びかけ、医院一丸となって取り組むことが重要です。

また、場合によっては、知己の歯科医師同士で協力し合って進めるのもよいでしょう。特に災害が起きた場合、近隣の歯科医院同士で協力が必要なケース(互いの患者の受け入れや、協力体制のもと、被災地の救急歯科診療や口腔ケア指導など)と、まったく地域の違う歯科医院に協力を求めるケース(情報収集や緊急連絡の中継、不足物資の送付など)の両方が出てきますので、日頃から防災という接点で連携をとっておくことが大切です。

歯科医院専門の防災コンサルタントというのはないようですが、懇意にしている業者やコンサティング会社の中にはノウハウを持っているところもあると思いますので、声をかけてみるのもいいでしょう。
マニュアルとまではいきませんが、自らの経験をブログにまとめておられるコンサルティング会社がありましたので、以下にご紹介します。

医院の防災マニュアル 準備編

 

いずれにしても大切なのは、完璧を目指すよりは、まずは着手し、できたところだけでも実際に訓練をするということです。そしてそこで得た生きた情報をマニュアルに反映させ、生きたオリジナル防災マニュアルを育てていくことです。

次回は、「大規模災害が起きたとき、歯科医院として何ができるか」についてお伝えします。