BLOG

歯科WEB集患ブログ

神経抜くと30万!? 高額治療費がデンタルIQを上げる 【世界の歯科事情001 オーストラリア】

インバウンドブログネタ

212 ビュー

世界の国々と日本では、歯科事情がかなり異なります。日本の歯磨きメーカーが2014年に実施した「日本・アメリカ・スウェーデン 3カ国のオーラルケア意識調査」では、予防歯科を実際に実践している割合がアメリカ・スウェーデンでは約7割に対し、日本は3割程に留まりました。また、デンタルフロスの使用率がアメリカ・スウェーデンでは50%を超しているのに対し日本では19%という結果でした。
これらは、日本のように治療費が公的な保険でカバーされるか、アメリカのように公的保険制度がないため治療費が高額であるか、はたまた、スウェーデンのように19歳までは治療は無料といった制度面の違いから生まれる差異であるとも言えます。さらに国民性や国の取り組みも加わって、国民のデンタルIQに差が出てくる傾向があるのです。
本コラムでは、こうしたさまざまな世界の歯科事情をご紹介していこうと思います。第1回目は元歯科衛生士の筆者が現在住んでいるオーストラリアの歯科事情についてお伝えしていきます。

高額な治療費ゆえのデンタルIQの高さ

オーストラリアでも一昔前は国民の歯科に対する意識が低く、歯周病や虫歯が多いという問題があったようです。このことを危惧した政府はフッ素入りの水道水にしたり(州や地域による)小児からの歯科予防に重点をおくなどの対策を行ってきました。そのため徐々にデンタルIQが高くなっている傾向があります。

オーストラリアでは歯科治療はすべて自費で、しかも治療費は高額です。例えば根治は専門医に送られ、その費用は日本円で約30万円もします。そのため、大抵のオーストラリア人はプライベート保険に加入しています。しかし保険会社や保険のプランはさまざまで、例えば、親知らずや神経治療などは補助金のおりる額が決まっていたり、年間で補助金がおりる上限が決まっているプランもあります。
いずれにしても治療は大変なため、虫歯になる前に定期検診に行く人が日本よりも多いようです。

AU01

 表1:過去の歯科受診率とその目的

この表はオーストラリア政府が行った歯科実態調査の一部です。
日本で行われた同様の調査(保険福祉動向調査)と比較してみましょう。

●1年間に歯科を受診したことがある人の割合は

 日本 35% オーストラリア 60%

そのうち、予防歯科のための検診で来院した人の割合は

 日本 6.0% オーストラリア 59.7%

オーストラリアでは、虫歯になってしまうと経済的に治療が難しいため、虫歯にならないために年に一度は歯科医院に行く習慣ができあがっているようです。
それに比べて日本は非常に予防に対して意識が低いということが分かります。

患者は自己責任で治療内容を選ぶ

さて、実際の治療ですが、歯科技術においては日本と大きく変わりませんが、自費診療ということもあり滅菌・消毒は徹底して行っているところが多いようです。

やはり一番違いが目立つのは、治療費が高額であるゆえに生まれるシステムや考え方といった点です。
日本では治療費の内訳が示されることはまれで、患者さんは言われたとおりに支払うのが普通ですが、オーストラリアでは治療費が医院ごとに違うため、料金の内訳をしっかり提示しているところが多く見受けられます。
歯科医師は必要な治療と料金を提示し、患者自らが治療を選択できるようになっています。そのため歯科治療に入る前に治療費に対しての同意書を書かせる医院も多いようです。

また、日本では保険治療対象であるため値引きができない検診やレントゲン撮影も、オーストラリアでは自費治療であるため、パッケージ化し、サービス価格を設けている歯科医院もあります。

患者側はとにかく、自己責任で治療方針を選ばねばなりません。
中には、プライベート保険がおりる範囲で安い歯科材料を選んで治療費を抑えるという患者さんもいるようです。

表2は「歯科受診において経済的に困難と感じたことがある割合」を示した表です。

全体で37.8%の人が経済的に困難と答えており、特に女性に限るとその数は半数にも迫る42.5%となります。

au04

表2:歯科受診において経済的に困難と感じたことがある割合

私のオーストラリア人の友人の話では歯が痛くなっても治療費が高額なため歯医者に行かずそのままにしておくという人もいるとか。その後その歯がどうなったかは分かりません。

患者に選ばれるための充実のコンテンツと便利なシステム

歯科医院のWEBサイトにも興味深い違いがあります。

多くの人がWEBサイトで医院選びをしているのは日豪とも同じ。オーストラリアでは、歯科医院によって価格の設定がさまざまなので治療方法や症例など、より細分化された情報が掲載されています。
2つの歯科医院をピックアップしてご紹介しましょう。

1)コンテンツが充実したサイト

Booragoon DentalClinic
http://www.booragoondental.com.au/

西オーストラリア州のパースにある『Booragoon DentalClinic』のサイトのトップページです。
コンテンツが充実しており、日本の歯科医院でも取り入れたいところがいくつかありますので、見ていきましょう。

au05

●患者にとってわかりやすい診療内容と価格

どのような診療を行っていて、それはどういう歯科材料を使うかを、患者さんにわかりやすく説明しています。例えばベニヤとは何か? インレーとは何か? といった具合です。
動画でインプラントとブリッジの違いをわかりやすく説明したりといった工夫もされています。

●オンライン予約でドクターが指名できる

オンラインでの予約ができる歯科医院は日本でも増えてきていますが、ここでは、自分で好きなドクターを選べるのです。これは自分で治療方針を選ぶことも多いオーストラリアならではですね。

AU02

2)視覚効果を狙ったサイト

Smileconcepts
http://www.smileconcepts.com.au/

シドニーの街の中心地に医院を構える『smileconcepts』のサイトです。
このサイトは写真を多く使用しているのがポイントです。このサイトからも取り入れたいところをご紹介します。

au06

●写真を多用し、症例をわかりやすく解説

上の写真は審美歯科のページに矢印を合わせた時に出る写真つきの項目です。各ページには写真やイラストで分かりやすく説明がされており、専門的なことでも飽きずに見れる工夫がされています。

●症例の写真を豊富に掲載

2つ目に症例が多く載っているということです。スマイルギャラリーというページに術前・術後の写真が載っています。術後の写真を見て自分もこのようになりたいと受診される患者さんがいそうですね。
口腔内写真を毎回撮影するのは大変なことかもしれませんが、症例を集める上でとても大切です。

au03

●グーグルの口コミを掲載

グーグルマップで地図を表示していますが、同じくグーグルの口コミが見れるようになっています。他の医院のサイトでも口コミを載せているところがいくつかありました。
日本では歯科医院の口コミは口コミサイトなどでしか見られませんし、ホームページに載せることは勇気のいることです。しかし、患者さんが歯科医院を選ぶ際に口コミを参考にすることが多いので、うまく活用できれば強い味方となりそうです。
実際のところ、口コミのほとんどが良好な評価であるところがすごいですね。

まとめ

  1. オーストラリアでは歯科治療は自費で、非常に高額。それゆえ、患者側も歯科医院側も予防歯科に対する意識が高い。
  2. 治療費が高いことから、治療が困難な人もいる。また、保険がおりる範囲で歯科材料や治療を選ぶ患者もいる。
  3. 治療の内容と治療費は医院ごとに違うため、WEBサイトは患者にとってわかりやすいコンテンツや便利なシステムが揃っている。

保険制度が充実している日本でも、患者が数多ある歯科医院から自分にあった医院を選ぶのは同じです。「選ばれる」という点でよりシビアな条件下にあるオーストラリアの歯科医院のWEBサイトには、学ぶべきところがありそうです。